貧乏×御曹司は毎日が驚きで
【あの日のこと】

あれから3日は柊馬くんと何も話していない

何がいけなかったの...と思わず辛くて泣きたくなる

ごめんと言おうとしても顔を合わせてもらえないから謝るチャンスすらなくて

こんなに近くにいるのにどうして私たちの心の距離は遠いの...?

こんなことを一日中考え、学校から帰ってきて疲れた私はウトウトと机に顔を伏せたまま今にも寝てしまいそうだ

でも勉強しなきゃっ....とペンを握った。

弟とお父さんのためにも絶対に1番にならなきゃいけないんだから

実は柊馬くんは頭が良くて成績優秀だった。

私もそんなに勉強は苦手な方じゃないのに今回の順位も私の方が下でガックリ

気を遣ってくれているのか柊馬くんは成績に関して何も言ってこない

けどこのままじゃペアを交換したいとか言われてしまいそうで怖い

足を引っ張る訳にはいかないよね....

だが、睡魔に勝てず夢の世界へと連れて行かれてしまった

あれっここは家?

気がつくと私は寮ではなく自分の家にいた

真夜中、何故か目を覚ました私は微かに聞こえる物音を頼りに玄関までたどると人影が見える。

静かに雨が降り注ぎ気温も低く肌寒い

「紅羽っ...!!!!」

お母さん....?!私は声のする方へ顔を上げるとそこにはお母さんが立っていた

「お母さん...?」

お母さんは今までに見たことのないくらい悲しくて切ない顔をしている。

小さいながらにしてもいつもとは違う母親の様子に違和感があった

「お母さんねぇ、紅羽のことだいすきだよ」

そう優しく言うと私をギュッと抱きしめる

突然どうしてそんなこと言うの...?と思ったけど嬉しいことに変わりはない

母の腕の中はどうしてこんなにも温かくて落ち着くのだろうか

「うん!私もだーいすき!!」

そう言いながら私の方が強く抱きつき返した

私はとても幸せだった

「お母さんこれからおでかけするの...?」

私の言葉に表情が一変する。

母親は私を抱きしめる手を緩めゆっくりとドアノブに手を伸ばすと

「うん....ごめんね」

なんで謝るの、どうしてそんな顔するの?

それだけ言うとお母さんは家を飛び出した

いつもと違うお母さんに私は慌ててドアをあけると、本当に遠くに小さくお母さんの姿が見えた

追いかけようとしても到底追いつかないであろう程先に見える

「ママっ!!ママぁぁぁぁあ!!!」

私の泣き叫ぶ声はザーッと降り続ける雨の音にかき消されてしまった

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