貧乏×御曹司は毎日が驚きで
【現実】

目を覚まして時計を見る

あぁ私、結局寝ちゃったんだ...

後悔しても仕方ないけれど、寝てしまったせいで課題が全く進んでいない

「えっ...?」

身体をゆっくり起こすとノートは濡れていて、目元も湿っている。

なんでっ....?心当たりが見つからない

とりあえず濡れてしまったノートを乾かして、勉強に戻ろうと思った時だった

外に降る大粒の雨を見て

あ...思い出した

私は夢の中で母親が出ていったあの日のことを見ていたのだ

あの日もこんな雨の日だった

いつもと違う母親をどうして止められなかったんだろう

どうして父親をはやく呼ばなかったんだろう

私には何もすることができなかった。無力な自分が許せない

最後だと分かっていたら沢山伝えたいことがあったのに

置いて行かないでよお母さん....

どんなに願ってもあの日には戻れないし変えることもできない

だから今の私にできることは今を後悔しないこと

それなのに柊馬と、このまま話すこともできずにペアを解消されてしまったら?

私はもう2度と大切な人をこの手からこぼしたくない、失いたくない

なんとしてでも許してもらえるまで謝って仲直りしてこれからも一緒にいたい.....

冷たくて不器用だけど、本当は優しくて努力家な柊馬を知っているから

そう思うと既に身体が勝手に動いていた

いきなり柊馬の部屋を勢いよく開けて

「柊馬くん......!」

でも返ってきたのは静寂だけで彼の姿も見えなかった

そのあとリビングも洗面所もみんな探したけど結局部屋にもいなかった

慌てて飛びて中庭や食堂も探しに行ったが見当たらない

冷たい雨がいっそう私の不安を強くする

柊馬くんも私の前からいなくなっちゃうの...?

私は傘も持たずに学校を飛び出して、どしゃ降りの中をただひたすらに走り続けた。

もう外を何時間走って探し続けただろうか

柊馬くんの行きそうな場所ですら検討がつかないなんて

一緒に生活しているのに私たち、お互いのこと全然知らないんだね....

身体は冷え切って思うように動かず、寒い

でも、そんなことより今は心の方が苦しかった

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