夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
 昼休みになると、必ずアンナが昼食に誘いに来てくれる。
 彼女が休みの日は、ランスロットが食堂から昼食を二人分、持ってきてくれる。
「シャーリー、食堂にいきましょう」
 そうやってアンナが顔を出すことに安心するのはシャーリーだけではない。ランスロットもいつも小さく息を吐いている。
「どう、慣れた?」
 食堂に行くには、エントランスから建物の外に出る必要がある。
 王城で働く全ての人が利用するため、食堂そのものが一つの建物になっているのだ。食堂は三階建てて、各階でそれぞれ違うメニューを提供している。
「うん、なんとか」 
「ハーデン団長とは、仲良くやってるみたいね」
「仲良くって……」
「シャーリーがハーデン団長の専属に戻ってくれたから、こっちもずいぶんと楽になったわ」
「そう言ってもらえると、私もやりがいがある」
 彼女たちは迷うことなく三階へと向かう。
 三階は軽食を主に扱っており、さらにデザートが豊富なのだ。そのため、利用客も女性の方が多かった。
 パンとサラダとスープ、そしてお目当てのデザートをトレイにのせて、空いている席へとつく。できるだけ、周囲に人がいない席を選ぶ。
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