夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
 二人から少し離れた場所に立っていたのは、ジョシュアである。
「お前、どこから聞いていた……」
 痛みに顔を歪ませながら、それでもランスロットはジョシュアを睨みつけている。
「どこから? 全てだよ。レイモンがシャーリーにかけられた魔法を解くと言い出したところから、私はここにいたよ」
「くそったれが」
「それだけ悪態がつけるなら、大丈夫なようだな。だが、怪我人は邪魔なんだな。シャーリー、悪いが怪我人を連れていってもらえないかな? そして怪我が治るまでは、大人しくしていろと」
「は、はい」
 シャーリーは立ち上がると、ランスロットの身体を支える。
「ランス。歩ける?」
「大丈夫だ、問題ない」
「建物の外に、迎えの馬車もいるからね」
「用意周到すぎて嫌になるな……」
 ランスロットは呟くと、シャーリーに身体を預けるようにしながら歩き出した。
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