夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
エピローグ
 シャーリーは、純白のドレスに身を包んでいた。隣には、真っ白い騎士服を身に纏うランスロットがいる。
 あの事件のあらましは、ランスロットたちが考えていた通りだった。
 シャーリーに好意を寄せていたダリルが、二人の結婚式に人を使って、ランスロットを亡き者にしようとしたこと。そのときにシャーリーが彼を庇ったことで気を失った隙に、忘却魔法のかけたこと。忘却の魔法をかけたにもかかわらず、シャーリーがランスロットと共にいることが気に食わなかったダリルは、ランスロットの執務室に盗聴魔道具を仕掛けるために執務室に侵入したこと。そして、シャーリーを攫ったことまでを口にした。全ては事前申請していた自白魔法のおかげである。
 もう一人の男は、薬品庫から薬品などの横流しをシャーリーに知られそうになったことで、彼女を監視していた。結婚後、記憶を失ったことを知り安堵していたのだが、彼女が記憶を取り戻すかもしれないと話を聞き、恐ろしくなって彼女の帰宅を狙って襲い掛かった。このとき彼は、死を覚悟してシャーリーを封じようと思っていたらしい。だが、ランスロットが彼女を庇ったことで、シャーリーは助かり、男も全てを諦めた。
 シャーリーに好意を寄せた者と、シャーリーを邪魔だと思う者が、同時に動いていたことで事件がややこしくなったのだ。
 全てが解決し、ランスロットの怪我も治った。
 シャーリーの二年分の記憶もとっくに戻っている。
 そこでランスロットは結婚式のやり直しをしたいと言い出した。一生に一度の大イベントであるのに、あのような形で終わってしまったことが悔しかったようだ。
 ランスロットの意見に反対する者はいなかった。

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