オフクロサマ
破られたページ
資料館の奥には長テーブルと椅子が置かれていて、そこで本を読むことができるようになっていた。


「ごめん、ちょっと真一に連絡したいから本を調べてて」


分厚い本の目次に目を通していた裕貴がふいに立ち上がってそう言った。


「どうしたの?」


「真一たちが祭りに参加したとき、物音を立てたかどうか確認するんだ」


裕貴の言葉に智香は頷いた。


そういえばそれが肝心なことろだ。


真弓と宏が物音を立てていれば、それが原因で死んでしまった可能性が高い。


そして真一と唯がどうだったのか。


物音を立ててしまったのかどうかも問題になってくる。


裕貴は一度資料館を出て建物の壁に背中を寄りかからせてスマホを取り出した。


この村に来て1日が経過するけれど、誰も智香と裕貴に怪しい薬をやらせようとしてはこない。


客人をターゲットとして薬を売りさばいているとすれば、そろそろこちらに接触してきてもいい頃だ。


だけどそれがないということは、やはり安喜や桜が言っていたことが事実だったということになる。

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