オフクロサマ
最初から廃村扱いされていると知っていた様子だ。


なぜ?


そう聞き返そうとしたとき、資料室に到着してしまった。


そこは大きな講堂のような広場になっていて、そこに本棚を持ち込んだ状態になっていた。


「これ、全部がこの村に関する資料ですか?」


その数の多さに思わず裕貴が声を上げる。


これだけの数をすべて読もうと思うと何日間もかかってしまう。


「そうですね。でもこっちは童話や民話などで、こっち側が村の歴史。向こうにあるのはこの村出身の偉人たちの本になります」


どうやら3つに分類されて置かれているみたいだ。


自分たちが調べたいのは祭りについてだから、村の歴史の棚を見ればいいということになる。


それにしたって膨大な数の本で途方にくれてしまいそうになった。


「こうしてる時間がもったいないよ。調べよう」


智香に促されて裕貴はようやく動き出したのだった。
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