オフクロサマ
「唯、唯!!」


それから先はなにをしても唯につながることはなかった。


遅かった。


ダメだった。


守れなかった。


絶望が智香を支配して、体中が冷たくなっていく。


なんの感情も失ってしまったかのように、辛さも苦しさも感じなかった。


「今のがフクロダキか?」


そう言われて「え……?」と聞き返す。


どうにか自分を撮り戻すべく、裕貴を見つめた。


涙は出てこない。


ショックが大きすぎて全くついていくことができないままだ。


「今の見たろ? 一瞬画面に写り込んだ顔。あれは唯じゃなかった」


そうだ。


一瞬見えた血まみれの男。


あれがフクロダキで、みんなを殺した犯人だ!!


智香はふらりと立ち上がった。


すでに体力は限界なのに、体中が痛くて仕方ないはずなのに動きだす。


みんなを殺したフクロダキがここにいる。


絶対に許さない!


絶対に見つけ出してやる!


熱い感情に突き動かされて、両手を土の中に突っ込んだ。


きっとフクロダキの骨はこの腐葉土の中に埋まっている。


それを引きずりだしてやる!!


「智香!」
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