幼馴染みの鍵が開いた瞬間から溺愛が止まらない
「それ、洗い終わったら、裏口から帰っていいよ。」
 奏ちゃんの声が控え室から聞こえた。
 水音がする。

 奏ちゃんが店に入ってきた。
 突然、私の腕を引いて、店の外に出る。

「おい、どういうことだ?」
「何が?」
「木下さんの兄貴と、そういう仲なのかよ。」
「違う。」
「違うって告られたんだろ?断ってないんだろ。」
「だから、まだ返事はしてない。っていうか、奏ちゃん何で関係ないじゃん。」
「関係大アリだろ?従業員兼妹の友達の兄と幼馴染のお前。俺の周囲1メートル以内だろ。」
「わけわかんない。そういう意味じゃない。奏ちゃんにとって、幼馴染でしかない私なんて……。」

 話してから、ハッと気づく。手を口に当てて、青ざめた。
 まずい、私……。
「そいつのこと、好きなのか?」
「……。奏ちゃんのバカっ!私は、私がずっと……。」

「あのー、終わりましたから上がりますね?」
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