幼馴染みの鍵が開いた瞬間から溺愛が止まらない
 「篠原さんに言ってなかったことがある。返事もらう前に伝えるね。」
 「なんでしょう。」
 「お兄さんの法律事務所に伺ったんだ。妹のことでね。お兄さんのことは、妹の友達から紹介されてね。まさか、君のお兄さんとは知らなかったんだ。びっくりしたよ。」
 「……そのことでしたら、知ってました。」
 「そうか。一緒に暮らしてないからもしかして知らないかもと思ったけど、そんなわけないか。」
 「すみません。私も兄のお嫁さんから探りを入れられまして言いづらくて。」
 「はは、やっぱりね。君のお兄さんは職業柄か鋭くてね。僕の気持ちを見透かされたよ。」
 「気にしないで下さい。誰に対してもそうなので。」
 「そう。まあ、知られちゃったら恥ずかしいけど、うまくいけばこれ以上いいことはないな。」

 運ばれてきた、焼き鳥を食べながら、ぼーっとしていると
 「今日は、様子が変だったね。目も腫れてたし。何かあった?」
 「……何かというか、そうですね。まあ、まだよくわかりません。」
 「そうか。今日はまだ返事聞かないから、心配しないでいいよ。そんな状態で聞いてもろくなことにならないだろ。」
 「相変わらず、本当に……木下さんにはかなわないな。」
 「おお、どんどん言え。僕を褒めてる?」
 「ふふふ、そうですね。光栄です、本当に。木下さんからそんな風に思ってもらえるなんて、想像もしてなかったし。」
 少し赤い顔の木下さんを見る。

 「本気だから。割と手応えありだと思ってるんだけど。だから、待つよ。」
 「はい。ありがとうございます。近いうちに必ずお返事します。」
 二人で店を出た。
 
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