幼馴染みの鍵が開いた瞬間から溺愛が止まらない

「この間、緑ちゃんの会社の人が事務所にきてたのよ。木下さんって人。イケメンだったわねえ。名刺もらって会社名見て一緒だから、びっくりしちゃって、緑ちゃんのこと話したら、何か挙動不審になってたよ。絶対何かあったでしょ。お姉さんに教えなさい。」
「え?」
 唯ちゃんは、ホントに鋭いんだよね。こりゃすごいわ。
 木下さんって普段ポーカーフェイスなのに、見破られるってどんなだよ。

「先輩なんだよね。お仕事できる人だよ。安心していいよ。」
「そんなこと聞いてません。そうじゃなくて、木下さん、緑ちゃんのこと気に入ってるでしょ。デートした?」
 グイグイくるねえ、唯ちゃん。はあ。木下さん何やってんのよ、もう。
 そうなんだよね。木下さんは、ホントに仕事もできるし、仕事で絡みもあり。
 いろいろとお世話になってる。
 というか、うん、この間ご飯にいったとき、やんわり告白された。
 それもあって、最近悩んでいたところに、昨日の菜摘ちゃん情報。
 まだ、自分でもどうしたらいいのか方向性がいまいちはっきりしない。
 そんなところに急に結果を求められましても。

「唯ちゃん、察してください。お兄にはくれぐれも内緒で。」
「やっぱりね。さすが私。かわいい義妹だから、と牽制しておいたよ。奏ちゃんのことまだ好きなんでしょ?」
「……あの……こんなところで言わないで。お願い。」
「はー、顔真っ赤にして、相変わらずしょうがないわね。小学生じゃないんだから。」

「おーい、唯。そろそろ昼だし、隣に帰るぞ。」
「はーい。緑ちゃんも帰るよね。一緒に。」

「後から行く。二日酔いでご飯いらないって言ってあるし。」
 そうこうするうちに、ふたりは出て行った。

 


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