「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~

デボラと宰相の意図

 翌日にはボルディーガ侯爵にアポイントが取れた。でっ、泊まりに行った。アポイントを取ったというよりかは、泊まりにいく約束をとりつけたようになってしまった。

 前回のように、侯爵夫妻はエントランスの外で出迎えてくれた。

 この日は、夕方までエルマと乗馬をしていたので、そのままボルディーガ侯爵家の馬車で連れて行ってもらった。

 バルナバも皇宮から帰宅し、夕食をいただいた。

「なんですって?お兄様、どうして断わらなかったのよ。そんなの、宰相の差し金に決まっているじゃない」
「エルマ、宰相の差し金ということはわかっている。だが、直接申し込みがあったんだ。しかも、ご令嬢の方からだ。無碍に断れば、バルの、というよりかは陛下の心証が悪くなる」

 その際、バルナバがエルミーニ侯爵家のご令嬢から舞踏会のパートナーになってほしいと申し出があったと報告した。
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