「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~

なにか様子が違うかも

「ナオ、と呼んでも?」
「もちろんです」
「では、ナオ。そちらにかけてくれ」

 さきほど握手したおなじ手が、長椅子を示した。

「兄上、ぼくはこれで」

 カストが言った。

 兄上?兄上って?

 兄上よね?えっ、まさか兄弟?カストって竜帝の弟なの?

「おいおい、カスト。おまえは、いつも愛想がないな」
「皇宮が好きではないですからね。それに……」
「なんだ、なぜ途中でやめる?」
「いえ、別に」

 そんな二人の会話をききながら、ようやく美貌の青年がだれなのかがわかった。
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