「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 聖女の家系で、代々国王の正妃になることが定められていること。わたし自身は姉のスペアとして、父が妾に生ませた子であること。姉とともに幼少から聖女として、王妃としての教育を受けてきたけれども、あくまでも姉のスペア。それなりの扱いしか受けてこなかったこと。

 ほんとうはひどい扱いだったけど、そこは告げる必要はない。

 聖女としてアロイージ王国の守護をしているけれど、それはわたしの力であること。姉や周囲は、それが姉の力だと思い込んでいて、わたしには力がないと思われていること。

 その為に、わたしは役立たずのレッテルをはられ、よりいっそう扱いがひどくなっているという説明も割愛した。

 竜帝がやってくるということで、その直前に王妃候補から外されたこと。「アロイージ王国を守護する聖女」として、つまり姉のかわりに竜帝の元へ行けと命じられたこと。

 捧げものにされたということも、告げなかった。

 本物の竜じゃあるまいし、いい気はしないでしょうから。

 最後に、王宮を去った時点で守護の力は止めたこと。

 そういったことを、感情をまじえず淡々と語った。
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