「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 なにより、正々堂々としていればいい。ほんとうのわたしを見てもらえばいい。

 そうよ。彼女たちは、わたしが祖国でのことを隠したり卑下したりすることを期待している。全力で蔑み、意地悪をするつもりでいる。

 わたしが泣いたり、懇願したりすることを確信している。

 彼女がこれまで接してきた、多くの貴族令嬢同様に。

 大丈夫、出来るから。フランコの為にもがんばるのよ。

 心臓がドキドキしている。それが、彼女たちに立ち向かう為のドキドキなのか、それとも彼女たちがどのような反応をするかに対するドキドキなのかはわからない。

 大丈夫。わたしなら出来る。

 もう一度、自分に言いきかせる。 

 ガンドルフィ公爵家の執事に案内され、お茶会の場に案内された。

 彼女たちは、庭園に設えられた東屋にいた。

 ガンドルフィ公爵令嬢が、六人のご令嬢を従え待ち構えていた。

 執事のうしろを歩きながら、国が違えどおなじなんだなとつくづく思った。

 東屋は、ムダに大きい。

 七人で囲めるほど大きな丸テーブルが二つあり、その一つにお茶とスイーツが並んでいる。

 公爵令嬢たちは、すでにお茶を楽しんでいた。
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