「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
「なんですって?」
「デボラ、だってそうでしょう?虐めたい相手が思いどおりの反応を示さなかったからって、癇癪を起しちゃって。みっともないったらないわ」
「侯爵のくせに生意気だわ。一応、今日は声をかけてあげただけよ。めずらしく顔をだしたと思ったら……。なるほどね。弱小国から逃げてきた聖女の力でなにかしようというわけ?」
「デボラ、今日は誘ってくれてありがとう。誘ってくれたことがとってもうれしかったから、参加させてもらったの。参加してほんとうによかったわ。この帝国には聖女はいないけれど、聖女の偉大さはだれもが知っている。そんな人とお近づきになれるなんて、光栄以外のなにものでもないんですもの。これで、わがボルディーガ侯爵家の栄誉は間違いなしね。あっそれと、侯爵のくせにって言うけれど、侯爵はわたしのお父様であってわたしじゃないわ」
「不愉快だわ」

 ガンドルフィ公爵令嬢が立ち上がった。

 彼女は、回れ右したかと思うと顔だけこちらへ向けた。
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