無茶は承知で、今夜あなたに突撃します
「そっかそっか。だったら私は四方さんに負けるなー!って知鶴ちゃんを応援するまでよ」

「待ってください。お気持ちはうれしいですけど……」

 なぜかウキウキと身体を揺らして楽しそうにする佐夜子さんを落ち着かせなければと、両手を前に出してストップのジェスチャーをした。 

「佐夜子さんくらい美人なら勝負できるかもしれませんけど、地味な私はすでに負けが確定していますよ」

「もう! やっぱり知鶴ちゃんはかわいい! 私がKOされちゃったわ」

 今の会話のどこで佐夜子さんをKOしたのだろう?
 悶絶している彼女を目の前にして、私はわけがわからずにポカンとするしかない。

「私は四方さんより知鶴ちゃんのほうが志賀くんとお似合いだと思う」

「そのお言葉だけで救われます」

「付き合ってすぐにスピード結婚してほしいくらい!」

 佐夜子さんの思考回路はどうなっているのだろうかと、初めて真剣にそう思った。
 今のは冗談で、笑うところだったのかな。そんなことはありえません、と。

「私が結婚できるわけないじゃないですか。一生独身でしょう」

「どうして?」

「誰も私となんか結婚したがらないから……?」

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