無茶は承知で、今夜あなたに突撃します
「あのとき聖くんが私の話を聞いてくれたから今がある。だから報告しに来たかったの。本当にありがとう。ずっと友達でいてね」

「イタタタタ! 最後にグサッとトドメを刺された」

「え?!」

 大げさに左胸を押さえる仕草をする聖くんを見て、志賀さんが堪えきれずにアハハと声に出して笑った。
 どうやら私はまた天然発言をしてしまったようだが、自覚がないので始末が悪い。

 だけど私が口にした言葉は心の底からの本心だ。
 『とにかく一か八かでもう一回正面から当たってみれば? 身体を差し出すんじゃなくて気持ちを伝えるって意味でね。もし砕けたら俺が慰めるよ』
 あのとき彼がそう言ってくれたから、がんばって勇気を出せた。

 聖くんにも幸せになってほしい。
 彼がサーフィンでオリンピックに出たらサインを貰おうかと、そんな想像を膨らませてみる。
 友達が有名になって活躍する日を楽しみにしていよう。


 おいしいロコモコでお腹を満たし、ふたりでカフェをあとにした。
 当たり前のように手を繋いでくる志賀さんにドキドキするのは、当分慣れなさそうだ。

「これから楽しい毎日が続いていくんだろうな」

 志賀さんが突然夜空を見上げてつぶやいた。
 街灯に照らされた彼の横顔が綺麗で、私は思わずそっちに見惚れてしまう。

「知鶴と一緒に居たら、絶対に飽きない自信がある」

「それは、どういう……?」

「好き、ってことだよ」

 甘い言葉をささやいた彼が、路上だというのも忘れてキスをしてきた。
 もちろん触れるだけで、深いキスではなかったけれど。

「帰るまで待てないなんてどうかしてるな」

「は、恥ずかしいです」

「家ではもっと濃厚にするから、覚悟しといて」

 うなずきながら、ゆっくりと幸せをかみしめる。
 一生分の運を一気に使ってしまった気がするけれど、それでもいい。

 志賀さんのそばにいたい。
 
 この気持ちを大切に生きていきたいから。



――― END.

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