愛とは決して○○しないこと
「福田。俺はお前と彼女が結婚しなくて良かったと思う…」

「え?」

「俺もお前と同じ感じだった。
俺も仕事が楽しくなってきた頃、6年付き合ってた彼女と俺はプレッシャーに負けて25で結婚したんだ。
嫁さんが妊娠してさ、俺は更に仕事頑張って働いてた。
バンバン海外出張も行ってさ〜
ある日部長から嫁さんが亡くなったって連絡がきたんだ。

急に腹が痛くなって病院に連絡したらすぐ来るように言われて、タクシー呼べば良かったのに自分で運転してさ〜単独事故だった。
嫁さんもお腹の赤ん坊も亡くなった。

やっと気持ちも落ち着いて遺品整理してたら…
赤ちゃんの記録日記に嫁さんの字でさ〜

"父親がいるのに、こんな生活ならいない方がマシかも…いつも1人、相談したくてもどうせ側にいてくれない。こんな結婚辞めたい"
って書いていたんだ。俺はショックだった。

家族を幸せにしたいから頑張ってたのに、
きっと嫁さんは1人で泣いてたんだと思う。」

だから福田。【明日は明日の風が吹く】っていうだろ?

「黒岩さんも〈風と○に去りぬ〉観たんですか?」

「え?映画? いや、俺は映画はあんまりだな」

「黒岩さん。ありがとうございます。ゆっくり今回は休ませて貰います」

「ああ。そうしろよ。時間が癒してくれる事もあるから…」
と黒岩さんは昔を思い出しているようだった。

そして、ホテルのロビーで別れた。
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