愛とは決して○○しないこと
大学2年の夏。
いつものようにサークルのメンバーでオールナイトのあとみどりと同じ路線の俺とホームで電車を待っていた時、みどりが俺の方へ倒れ込んできた。

ビックリして抱えながら椅子に座った。
「ゴメンね福田くん。ちょっとフラついちゃった〜」と無理に笑顔を作るみどり。
その顔はまっ青で、貧血のようだった。

「上条さん。顔色がまっ青だから駅員さんにお願いして休ませてもらおう」

「うん。ゴメンね」という顔色の悪いみどりを抱えて、駅の事務所の長椅子で横にさせてもらった。

女性の駅員さんがみどりにタオルケットをかけてくれ、足を高くしてもらい暫くすると顔色も良くなってきた。
駅員さんも「だいぶ顔色も良くなってきましたね」

「ありがとうございます。さっきより良くなりましたので帰って寝ます」

「そうですか? じゃあ彼に送ってもらった方がいいわ。また途中で倒れるかもしれないから。
彼女を送ってあげられる?」

「はい。心配なので送って行きます。」

「福田くんゴメンね。でも送ってもらえると助かる。」

「うん。大丈夫だよ上条さん。じゃあ行こう」
俺たちは駅員さんにお礼をしてホームへ向かった。

いつも同じ電車だったが俺の方が先に降りるので、みどりの降りる駅をこの時まで知らなかった。

俺より更に30分も先の駅だった。
そこからさらに歩いて15分。

「こんな遠くまで送ってもらってゴメンね」

「上条さんこんな遠くから通ってたんだね」

「うん。家賃が安いアパートだから…」
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