闇が渦巻く世界の果てで
◆ ◇ ◆

次の日の朝、早朝に似つかない爆音が鳴り響いた。

「ああ───見つかったか」

快斗さんのその言葉の意味を理解するのに、そう時間はかからなかった。目の前にいる奴らを見ればすぐにわかる。

「今更どうしたんだい?レン様───?」

挑発するような口調で目の前にいるレンさんにそう声をかける。

「勢揃いじゃないか。レン様にトールにネロにレオンに───ユーリ。その女の子がゆかさんかな?」

ふと、快斗さとユーリさんの間に流れる不気味な空気に違和感を抱く。そうだ。出会った時から思っていた快斗さんの目───。誰かに似ていると思っていたが、ユーリさんだ。ユーリさんと全く同じ目の色に、同じ顔立ち。

「ん───?その少女、もしかしてユーマ・リサキ・クライクの娘──────か?魔力の性質が似ている。顔も雰囲気も。あぁ、公爵って4人いたはずなのに2人いないと思ったら1人はそういうことか。ユーマはその少女と一緒にストライアを捨てたんだな」

何かを悟ったように快斗さんはぶつぶつ呟く。ユーマ───悠馬さん。ゆかのお父さんの名前だ。

「父上───久しいですね?相変わらず、僕たちをイラつかせる表情を浮かべている」

ユーリさんはそう言うと、フッと笑った。

(父上──────?)

それだとまるで、快斗さんが、ストライアの王族だ。

「相変わらず、お前はくだらない国に残ってるんだなぁユーリ───馬鹿息子」

その言葉に、息を呑んだ。

「なぁ尋。俺お前に会えてよかったわ。だからさ───」

快斗さんは僕の方を振り向いてにっこりと笑う。

「絶対に生き延びろ」

「──────っ⁉︎」

快斗さんが僕に手を向けると同時に、目の前が光に包まれる。

転移魔法───

「快斗さんっ──────‼︎」

僕の声は虚しく掻き消される。次に目にした光景は、どこかわからない広い広場だった。ふと、辺りを見渡すと、大きな文字が目に入る。

「上───海───?」

とんでもない場所に飛ばされた。僕は何も出来ない自分の手をきつく握りしめる。

「快斗さん─────ゆか──────」

結局、自分は何も出来なかった。結局誰も助けられてない。結局また誰かに守られて──────


自分だけが逃れるんだ───


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