愛しているから 好きにしろ
 
 じーっと、三橋さんの顔を見つめる。
 何に似てるかな?じろっとこっちを上から見ている。

 「鷹みたいな目だから、タツヤじゃなくて、タカヤにしようかな。」

 「なんだそれ?改名かよ?」

 「私は優しいから、みんなの前では言いません。でも今日から私といるときは、タカヤって呼ぶから。」

 「……いいぞ。いずれ、リスは鷹に食われるんだからな。」

 ニッと笑って私の肩を抱き寄せた。
 びっくりして、突き飛ばすと危ねえだろと言われた。
 後ろから車が来た。
 しょうがねえなと、手を握り直された。

 「なんなの?タカヤ先輩。チャラい。」

 「お前ちょっとぼーっとしすぎ。夜になると、よりひどくなるな。今日も眠いんだろ、子リス。」

 タカヤ先輩はかっこいいし、バイト先でも仕事できるいい人なんだけど、私にはいじめっ子にしか見えない。

 今日も、皿を持ったまま転びそうになったのをいじられて、みんなに笑われたし。

 また膨れている私を、実は優しい目で見つめていることにその時は気づかなかった。

 「子リス、明日はお前休みだろ。良かったな。仕事の内容忘れるなよ。復習しろよ。」

 「タカヤ先輩のご心配には及びません。私はもう大体覚えましたから。おやすみなさい。」

 部屋の前で別れた。
 
 
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