愛しているから 好きにしろ
 
 「だから、言ったでしょ。チーフに捕まったら奈由は自由がなくなるって。」

 「いつも、自分の人生を生きろとか言っておきながら、最終的には色々言ってくるんだよね。」

 「でも、チーフが良かったんでしょ。チーフと対等に付き合うなんて無理だよ。晴人となら対等だったかもね。」

 「……詩乃ひどい。」

 「ごめんなさい。今だから言えるけど、私はやっぱり晴人の味方だったんだ。」

 「それはそうでしょう。でもバイト紹介してくれたから、先輩と知り合ったんだよ。」

 「……そういえばそうだった。はー。」



 卒業式の二日前。三人で飲みに行った。

 そして、最後詩乃が気を遣って、ふたりにしてくれた。

 はじめて一緒に帰ったあのサクラの見える公園。


 「奈由、本当に会えなくなるんだな。今まで別れても友達に戻れたから姿も見てたし、話も出来ていて実感があまりなかった。」

 「そうだね。私も、同じ気持ちだよ。」

 「奈由、大丈夫か?あの人、就職しても束縛してるんだろ?」

 「そうだね。でも会えなくなったから少しは違ってきた。ねえ、聞いてもいい?」

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