囚われのシンデレラーafter storyー


 消えてなくなりたい思いが、ただ私を覆い尽す。

 それからすぐに休暇に入ったのがせめてもの救いだった。食料品の買い出し以外、外に出る気分にはなれなかった。

 部屋のベッドで毛布にくるまる。どんなにくるまっても、部屋を真っ暗にしても。

どうして、あんなことしてしまったのか――。

マネージャー室で、自分のしたことは消えてくれない。

――この後の身の処し方を自分で決めろ。

辞めるべきか。
そもそも、西園寺さんの前で今まで通りに働けるのか。

でも、私は日本から派遣されて来た身だ。
来て2ヶ月で辞めるなんて、迷惑もいいところだ。クラウン東京にも泥を塗ることになる。

答えは出ないままで、休暇は過ぎて行く。

 ここ数日、化粧もせず髪も梳かしていない鏡に映る私は、ただの30歳の女だった。

本当の私は、こんな顔をしていたんだ。

虚ろな目は少し窪み、唇はかさついて。

この顔の、どこが美しいの――?


 その日は、買い出しに行くのも面倒で、近くの定食屋にでも入ろうと遅い時間にのろのろとアパルトマンを出た。夕飯には遅い8時半を過ぎたところ。いっそのことワインも一緒に飲んでやろうと、ワインも料理もおいしい所を探す。

 自分のアパルトマンから5分くらい歩いたところに、ビストロを見つけた。ちょうど照明も明るく親しみやすそうな雰囲気から、そこへ入ろうとした時。

西園寺さん――?

店のドアから一人で出て来たのは西園寺さんだった。おそらく仕事帰りだ。

まだ、西園寺さんは休暇には入っていないはず――。

咄嗟に身を隠す。その姿を反対側の路地裏から目で追うと、石畳の道を少し肩を落としながら歩いて行く。

もしかして、この辺りに住んでいるの――?

そうだとしたら、私のアパルトマンからも近いことになる。
これまで、まったく気付かなかった。

その後を追うつもりはなかった。でも、思いのほか西園寺さんの家が近くて、更に驚く。

建ち並ぶ建物の一つの大きな扉に入って行く。そして少し経った後に、最上階の部屋に明かりがついた。

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