竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


(もう嫌! 帰りたい! 私がなにしたって言うのよ……)


 私の無抵抗な様子に気を許してくれたのかもしれない。竜王はため息をつくと、抑え込んでいる騎士に向かって追い払うように片手を振り、私から離れるよう促した。


「もうよい。手荒な真似はするな」
「し、しかし、この女のせいで、我が妹達が……」
「そのことは後でまた場を設ける。今は下がれ」
「……は、はい。竜王様」
「拘束を解け。女、手荒な真似はしないが、おまえが妙な動きをしたらすぐに殺す。わかったな」


 コクコクと無言でうなずくと、すぐに私を取り押さえていた手が離れた。呼吸ができない苦しさから解放され、私は大きく深呼吸をする。それでもまだ手の震えは止まらず、私はきゅっと自分の手を握り、前を向いた。

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