竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜

 少しとぼけたような声の主は、竜のキールくんだ。なにやらスッキリした表情でこちらを見ては、『聞いて聞いて』と私の服を引っ張っている。


「えっ? なにを思い出したの?」
『ぼくに怪しいものを、食べさせた犯人だよ!』
「ええ! 本当に?」


 自分の腕の中にいる私がいきなり大声で話し始めたので、竜王様も驚いている。


「どうした? リコ。何か竜がしゃべったか?」
「はい! キールくんが犯人を思い出したそうです!」
「よし! シリル、メモを取れ!」


 そのやり取りでいっせいに皆が、キールくんを囲み始めた。すると『竜王様はちょっとこわい……!』と、無意識の威圧を出す竜王様を怖がり始めてしまった。申し訳ないけど竜王様には少し離れて見ていてもらおう。


 私はさっそく団長さんと書紀係のシリルさんに挟まれるかたちで、キールという竜に何が起こったのか質問を始めた。
< 223 / 394 >

この作品をシェア

pagetop