竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


 しかしそこからも、けっこうドタバタだった。私を狙った者がいるということで、王族クラスの要人しか通れない裏通路を歩くことになった。これがけっこう複雑で、遠かった。


 またリディアさんが万が一のことを考え、私の侍女部屋も念入りに調べることになり、ようやく部屋に入れたのはあれから一時間以上経った頃だった。


(それにしても、こんなに時間が経ってるのに、まだ卵くんが反応しないなんて……)


 身支度を整え、一人っきりになってようやく、私は竜王の卵に向かって話しかける。


「卵くん。ねえ卵くん、そこにいるの? 大丈夫?」


 しかし何度話しかけても、卵くんは返事をしなかった。
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