竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


「竜王様ほどの竜気があれば、たいていの攻撃は跳ね返せますので、一緒にいれば安心ですよ。それに竜王様も領主に用事がありますので、お気になさらず。もちろん私もお供させていただきます」
「わあ! リディアさんと一緒なんて、嬉しいです!」

「おい、俺の時の態度と違うぞ」


 あいかわらず仲間はずれが嫌いな竜王様が、文句を言っている。するとシリルさんが竜王様にお茶を入れながら、話しかけてきた。


「リコはこの仕事に関して、質問はありませんか? 身の回りの物以外で必要なものがあれば、準備しておきますが」
「必要なもの、ですか……」


 どうやら旅の準備はリディアさんがしてくれるみたいで、私は身一つで出ればいいらしい。しかしこの世界で初めての遠出だ。日本での小旅行とは違いがありそう……


「あっ! 移動はなんでしょうか? 馬車とか……?」
「竜車です」
「りゅ、竜車! それはもちろん?」
「飛びますよ」
「きゃああ……ファンタジー……」
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