竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


(……無理だ。すでにお店レベルの味だったわ。料理はボツね)


 よくよく考えてみれば私がレシピを見ないでもできる料理は、醤油や味噌などがないと無理だった。なら洋食やお菓子で! と思っても、両方レシピがないと作れない。それにしても疫病を治す医者という能力だけじゃなく、料理もできる人だったとは。


「どうだ?」
「……すごく美味しいです。改善の余地はありません」
「ふむ、そうか。で、他には?」
「ぐっ……!」


 竜王は私の落ち込みなど気にせず、さっさと次のアイデアを出せと促し始めた。まあ、国に恩恵を与える存在と思われているから当たり前なのだろう。責めてる雰囲気はなく、どことなく面白がっている様子なのは助かるけど、どうしたらいいの?


(何か、何か私にできることは?)


 日本での私は保育の勉強をしていたけれど、学校に入るためのお金を貯めている最中で、知識もまだまだだ。やっていたバイトは、ファミレスのアルバイト。それと小学生向けの学童クラブの手伝いをしていたけど、それが役に立つとは到底思えなかった。


「ううう……他には……」

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