竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜

 なんだか最後のひと言だけ意味深だったけど、仕事内容は完璧だ! 私も雑用くらいならできるとは思っていたけど、同じ職業ならすごく助かる。いきなり王宮を出て見知らぬ土地で働くのは怖いと思っていたから、私はホッと胸をなで下ろしソファーに座り直した。


「すごく助かります! それに私のことはリコと呼び捨てで結構です! お部屋もここは贅沢なので、質素なところに変えてもらえませんか?」
「お部屋もですか? しかしそれは防犯の面で無理かもしれませんね……いえ、やはりリコの言う通りにしましょう。実際に迷い人としての能力がわからないまま優遇していると、風当たりが強くなり危険ですから」


 そう言うとシリルさんはなるべく私の願いを叶えようと、何か紙を見ながら「ここは遠すぎるし、こっちは生活するには不便だな」とブツブツ言っている。なんだか申し訳ない。遠慮しすぎるのもかえって仕事を増やして迷惑かもと思い、シリルさんに話しかけようとした時だった。
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