竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜


 圧倒され言葉も出ない私に、姿を変えた竜王様は満足したようだ。自慢気にそう言うとバサリと翼をたたみ、気づいた時には、人間の姿で目の前に立っていた。それでも私はパチパチと瞬きしたくらいで、呆然として動けない。


「なんだ、竜は初めて見たのか?」
「……えっ? あ、はい! 私のいた世界では竜は空想上の生き物だったので、すごく驚きました。最初は威圧感があって怖かったですが、それよりも……」


 まだ胸の鼓動が止まらない。突き抜けるような青空に黒く艷やかな竜が大きな翼を広げ、私を見ていた。あの光景が瞼から消えなくて、私は自分の胸にそっと手を当てた。


「それよりも? なんだ?」
「……とても美しかったです」
「……っ!」

< 52 / 394 >

この作品をシェア

pagetop