婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される
私の周りは辺り一面真っ暗だけど、不思議と怖くなかった。真夜中に毛布の中に顔まですっぽり隠れてるような気持ちで、うとうとしてくる。


 みんな、ごめんなさい。エドワード様。
 嫌われちゃったけど、私は好きだったよ。
 王女様と幸せになってね。
 本当は、これが伝えたかったの。


 私はゆっくりと瞼を閉じた。





 パチリと目を開けるとさっきまでの真っ暗闇ではなく、明るい室内にいた。


 ん? ここは、どこかしら? さっきまで真っ暗だったのに、ものすごく明るい。感覚的には1晩よく眠ったというところだけど、実際はどのくらい時間が経ったのかしら?


「う…うっうう」


 な、なに? この声! 怖い! どこから聞こえてくるの?
 慌てて辺りを見回すと、私の足元で誰かがうずくまっている。


「きゃっ! 誰?」
「サラ! ようやく僕のもとに戻ってきてくれたんだね!」


 私の足元で40歳くらいの金髪の男性が、キラキラとした喜びの目をして私を見上げていた。
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