婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される


「ほら、ローズ行くぞ」


 訪問国の王族が目の前にいるのに、この態度は何か考えがあるの? どこからこの自信はきているのかわからないけど、ついて行くわけにはいかない。私もエドの手をぎゅっと握り返し、言い返した。



「行きません。私はジーク王子とは結婚しません」



 そう私が言ってもジーク王子は、眉1つ動かさずニヤニヤしている。するとエドが手を離し、私をかばうように一歩前に出た。



「ジーク王子。この国の貴族が他国の王族と結婚するには、陛下の許可がいります。まずは陛下と話し合われてはいかがですか?」


 エドはあくまで冷静に、王族として対応している。するとジーク王子は汚いものでも見るような表情でエドを睨み、一歩こちらに近づいてきた。


「フィリップ、お前はローズのなんなんだ? もしかして10歳の子供に色目を使ってるんじゃないだろうな?」


 この前の「女を部屋に連れ込む」と言った事の仕返しだろうか? わざと侮辱する言葉をエドに投げつけてくる。エドの背中がピクリと動いた。その一瞬の変化を見逃さないジーク王子は、せせら笑いながら私を見てくる。

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