若旦那様の憂鬱
朝ごはんを2人で作る。

「今日はお見合いなんでしょ?
夕飯は気にしなくていいから、
先方の方と食べて来てもいいのよ。」

「先方の方には申し訳ないけど、
お断りしようと思ってるの。」

「会う前からもう決めてるの?
会ってみたら気が変わるかもしれないわよ。」
お母さんが楽しそうにそう言う。

「お母さんは、相手の方と会った事があるの?」

「もちろん、素敵な方よ。
見目も良いし、背も高くて好青年よ。」

「お見合いなんてしなくても、モテそうな人だね…。」
どうしてそんな人がお見合いなんてするのだろう。

「花は今まで、誰かを好きになった事はある?」
母が唐突に聞いてくる。

「急に何?無い事は無いけど…」
柊君を思い浮かべながら曖昧にそう答える。

私自身、柊君が初恋だったし
柊君意外の人に惹かれた事は無いなぁと気付く。

「会った時に、ピンって来るんだって。
この人が運命の相手だって。」
母がそんな事を言ってくる。

「お母さんはどうだったの?
今のお義父さんとは運命を感じたの。」

「ふふっ、どうだったかしら。
花が1番だったから、
素敵な人だなぁとは思っていたけど、
結婚するなんて思ってもなかったわ。」

「じゃあ、私のお父さんとは?」

「そうね…若かったから、この人とは何かあるとは思ったけど…。
結局ろくでも無い人だったから、
ピンとはきて無かったかも。」
そう言って笑う。

「じゃあ、ピンってきても上手くいくかは結局分からないじゃ無い。」
私も笑いながらそう言う。

「そうね…。結果はどうあれ、
花を授かったから良しとするわ。
花に会うためにあの人とは出会ったのよ。」

「前向きな考えでいいね。」
母娘笑いながら仲良く朝食を作る。
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