若旦那様の憂鬱

コンテスト当日

商店街のミスコンテストは良い天気にも恵まれて、沢山のお客様が訪れてくれた。

柊生の司会業もさすがに慣れていて、
滞りなくコンテストも進んで行く。

花も裏方で忙しくしながら、司会進行が滞りなく進むよう微力ながらステージ裏で走り回っていた。

「これで、二次審査を勝ち残った15人が出揃いました。
これから審査に入ります。
お昼を挟んで午後1時、またこのステージで発表させて頂きます。
皆様も是非、投票を宜しくお願いします。
それではどうぞ、最後まで応援よろしくお願い致します。」

柊生がそう一礼して、さわやかな笑顔を振り撒きステージ脇に戻って来る。

「お疲れ様です。」

花は、おしぼりとペットボトルを柊生に渡し、とびきりの笑顔と共に出迎える。

「花もお疲れ様。
ありがとう、さっき咄嗟に動いてくれて助かったよ。」

実は、最後のステージでマイクが急に音を拾わなくなって、慌てて花が新しいマイクを渡しにステージに出た。

泣きそうになっていた候補者も、
柊生のフォローで何とか建て直し、
納得出来る歌声を披露する事が出来て事なきを経た。

「ううん。柊君のフォローのおかげだよ。
疲れたでしょ?控え室でゆっくり休んで。」
花は笑顔で、柊生を控え室に促す。

「花も一緒に休もう。」

そう言って、花の手を繋ぎ引っ張って行く。

「柊君、私まだお茶とか片付けないと…。」
花はまだやる事があると困ってしまう。

「後で一緒に手伝うからとりあえず休もう。」

強引に控え室に連れてかれて、苦笑いしながら花は着いていく。
< 252 / 336 >

この作品をシェア

pagetop