彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.1】
「やっぱりそうなのね。私も話してみてそう思った。よく敵に回したくない人っていうじゃない、まさにそう言う感じの人だった」

「本当なら断れないが、菜摘のことだけは別だ。あいつはそれをわかっていて喧嘩を売ってきた。俺たちが付き合っているのを知りながら、許せない」

「そんな個人的な理由でこのことを断ったりしたら、あなたに何か制裁があるかもしれない。何も心配しないで大丈夫。プライベートは干渉しないって言われたし、大丈夫よ」
 
 心配させたくないと思い言ったのに、火に油を注いだようだった。

 目が三角になっている……低い地を這う声に変った。

「菜摘お前、もしかして俺を説得しようとしているんだろう?一緒に話をしてあいつに惹かれたのか……」

「そんなわけないでしょ。俊樹さんこそ私を信用してくれていないじゃない。ねえ、ご実家で俊樹さんにお見合いがあるって聞いたわ。隠していたの?」

 彼はびっくりした顔をして私のほうを見た。

 
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