俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 そうして、優羽の細い首に触れ、艶やかで柔らかいカーブを描く頬に触れる。
 その手は肩から、ゆっくりと身体をなぞって背中に触れた。触れているのは服の上からなのに怖いくらいの興奮を覚えて、城ヶ崎は苦笑する。

「うふふっ、くすぐったいよ……」
 舌っ足らずな甘い声。計算でされたらそれほど腹が立つこともないのに、優羽のそれはいつまでも何度も聞きたくなる。
 いけないなんて百も承知だ。

 城ヶ崎は優羽の顔を両手で包み込んで覗き込んだ。
 優羽が城ヶ崎をまっすぐにみている。

 綺麗な茶色い瞳。こんなに近くでまっすぐに見たことはない。そしてこんなに近くで見つめ返されたこともない。
 ただ分かったのはその薄い色素の瞳に捉えられてしまった、ということだけだ。

「優羽、俺の名前知ってる?」

「知ってるよ。昂希くん。だってみんなはそう呼ぶもの」
 癒し系でいつも優しい雰囲気だけれど、前後不覚なほどに酔っている優羽は柔らかく色付いた肌と潤んだ瞳ととろりとこぼれそうな甘さを含んだ声でいつもにはない危うさが妙に色っぽい。
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