太陽と月の恋
クリスマスデート
河辺さんと私が入った店は「イタリアンでいいですか?俺、ピザ大好きなんですよ」の一言でイタリアンだった。

クリスマスディナー向きでないというか、カジュアルな雰囲気だからか予約なしでも入店できた。とはいえ、店内は9割近く席が埋まり、賑やかな話し声があちこちから沸き起こっている。真っ赤なソファーのテーブル席に通される。

「お酒飲める人?」

さっきから少しずつ敬語が抜けていることに私は気付いていた。

「まあまあ」
「じゃあワインいっちゃいますかー」

そう言いながら嬉しそうにニカニカとドリンクメニューに手を伸ばす。

「何飲む何飲むー?シャンパンいっちゃう?」

少し子どもっぽい表情でちらりと私を見た。
不意に目が合って、私はメニューへと視線を逸らす。

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