跡取りドクターの長い恋煩い
「お前が覚悟を決めてくれるなら……」

「もちろんだ! 
笑美里がN県に来ても、なんの問題もない。俺がずっとそばにいるから。寂しい思いなんてさせない。
なんならうちの家族全員で笑美里を守るよ。
任せてくれ!」

「……フッ……そうか。
お前ならそう言うと思ったよ。
 まあ、もちろん指定校が取れたらの話だ。
それに入れたとしても最短で6年半以上先の話だがな」

「俺は待てるよ」

 こうして、芦田家の全面協力で笑美里は廣澤へ入職する道を歩み出したのだ。


 ◇◇


「なるほどね、一夜の過ちってやつね」

「お、お前!  俺の妹になんてことを……」

「幸太郎、落ち着いて。よく考えてみてよ。
 DTが寝ている間に思いを遂げられた!
 なんて、有り得ると思う?
 無理無理! やり方知らないじゃない」

「や、やり方……」

「宗司も笑美里も勘違いしてるだけ。
まあ、二人ともまだまっさらだと思うわよ」
 
 間違いないわ。……と瞳に一蹴された。

 ああ……やっぱりそうなのか。
 寝ている間にDT卒業なんてそんな神業、俺にできるわけないよな。……DTなんだから。

 がっくりと肩を落としている俺に、瞳はさらに畳みかけてきた。
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