跡取りドクターの長い恋煩い
「あのー、ちなみに私が初めてってことはどうしてわかったの?」

「そりゃ……その……シーツだ」

「シーツ……」

「ち、血が付いてた」

「えぇっ」

 私は思わずベッドに駆け寄った。
 宗司くんが綺麗に整えてくれた上布団を外すと、信じられないことに、極わずかな血痕がある!

「う、うそ……」

「ごめん!
 やっぱり俺が責任を取るべきだと思う」

「……でも、覚えてないんだよね?
 だったら本当にしたのかわからないじゃない。宗司くんも酔っ払ってたんだよね?」

「俺も……酒は飲んでた。だがベッドに入るまでの記憶はちゃんと残っている。
 ……笑美里は、本当に覚えていない?」

「……夢に宗司くんが出てきたような気はするんだけど……」

 しかもその夢って、なんだかいかがわしい。
 
「……笑美里はかなり酔っていて、俺が自分の部屋に入ろうとしたら『宗司くんに見せたいものがあるの〜』って言ってきた。だからこっちの部屋に上がらせてもらった」

 見せたいもの?

「それで……その見せたいものが見つからなくて、笑美里は気分が悪くなったんだ。
飲みすぎた状態で探し物をしたからだろう。
だからトイレで介抱して……」

「うそ! ……ごめんなさい。私なんてことを……」
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