跡取りドクターの長い恋煩い
 初めて喋ったのは、彼女が小学校1年生、俺は3年生の時だった。

 それまでも会ってはいたのだが、笑美里は幼すぎて母親達の輪の中にいた記憶しかなかった。

 大人が会食し近況を話し合うようなパーティは、子供にとって退屈でしかない。
 だからパーティの間、大宴会場の隣の小宴会場が子供たちのためのキッズルームとして用意されていた。

 小学校以上の子供達は、エンドレスに流されているアニメ映画には目もくれず、当時流行っていたゲーム機でフレンド登録し、オンラインゲームに夢中だった。

 もちろん俺も同じだ。
 1年に1度しか会わない友達ばかりだが、実はその後もゲーム機を開ければオンライン上で会うことが出来るので、ゲーム仲間としてずっと友情は続いていた。

同門会に参加する子供達は幼馴染のような関係になっていたのだ。

だから俺達は、年に1度のこの再会を心待ちにしていた。
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