跡取りドクターの長い恋煩い
「なんですか? なんでも聞いてください。
俺と笑美里の出会いですか?
それとも恋に落ちた瞬間の話――」
「いや! ……それは結構だ」
矢本先生がビシッと両手のひらを見せてきた。
なんだよ。聞いてくれたら時間が許す限り話すのに。
「……1つ、忠告しておこう。
彼女、芦田先生はとても真面目だ。
もちろん宗司先生も仕事には真面目だと思っている。きっと公私混同もしないだろう。
ただ俺は、真面目な彼女が、なりたいと思っている産婦人科医に早くなれるように応援してやってほしい。それだけだ」
「……」
産婦人科医?
そうか。笑美里は産婦人科医になりたいのか。それは確認していなかったな。
勝手に初期研修修了後は内科に入局だと思い込んでいたが、産婦人科なのか。
今、廣澤の産婦人科に女医は1人しか居ない。それは親父たちも喜ぶだろう。
俺と笑美里の出会いですか?
それとも恋に落ちた瞬間の話――」
「いや! ……それは結構だ」
矢本先生がビシッと両手のひらを見せてきた。
なんだよ。聞いてくれたら時間が許す限り話すのに。
「……1つ、忠告しておこう。
彼女、芦田先生はとても真面目だ。
もちろん宗司先生も仕事には真面目だと思っている。きっと公私混同もしないだろう。
ただ俺は、真面目な彼女が、なりたいと思っている産婦人科医に早くなれるように応援してやってほしい。それだけだ」
「……」
産婦人科医?
そうか。笑美里は産婦人科医になりたいのか。それは確認していなかったな。
勝手に初期研修修了後は内科に入局だと思い込んでいたが、産婦人科なのか。
今、廣澤の産婦人科に女医は1人しか居ない。それは親父たちも喜ぶだろう。