無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない

 俺は再びギュッと目をつむり、寝たふりを続行した。きっとレイラは俺のことを、弟くらいに思っているのだろう。だいたい雷を怖がる男に、恋心なんて生まれるわけがない。そう彼女から見た俺の立場を実感すると、グサリと刺されたように心が痛んだ。


 そうだ! レイラとの結婚式やドレスについて考えよう! 暗い気持ちを振り払うようにそう決めると、クライトン家に着くまで一睡もしなかった。それどころか完璧な結婚式プランとドレスのデザインを思いつき、満足感と興奮で目はギラギラしている。


 早くこのプランを母に伝えて、プロポーズを成功させよう! ドレスの布もありとあらゆる物を準備し、仕立て屋も予約済みだ。なんとかレイラと夜会の約束を取り付け、俺は足早に帰っていった。


 次の日の訓練にはかなり力が入った。雑念を振り払うためにも、ブンブンとすごい音をたてて剣をふる。よくよく昨日の事を考えてみたら、レイラはキスなら許してくれた雰囲気だったんじゃないか? と後悔している。何が初夜だ。俺はまたモヤモヤを払うためにも、夢中で剣を振った。
< 61 / 76 >

この作品をシェア

pagetop