無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない

 心臓を直接グシャリと潰されたように、一瞬息が止まった。しかし俺は騎士団の「戦う時は敵に弱っている所を見せるな! 堂々としろ」という教えを思い出し、紳士的な顔を取り繕って返事をした。


「そんなことありませんよ。私達はすぐに結婚しますから」


 にっこりと微笑み心の余裕を見せたつもりが、シャルロット嬢は「あれぇ?」とマヌケな声を出し小首をかしげて俺を見ている。


「だってグレッグ様が手紙を出しても返事を書かないなんておかしいです。絶対に好きな人ができたんですわ!」


(どうして知ってるんだ? 誰に聞いたんだ?)


 かわいらしい顔をしているが、内側から醜悪さがにじみ出ているようだ。外見と中身のチグハグさに、言いようのない気持ち悪さを感じる。


「それに聞きました! レイラ様は女主人として大切な社交に興味ないって。レイラ様ったら、社交を全部グレッグ様に任せて寝ているだけなんて。グレッグ様かわいそう……」
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