意地悪王子様のホワイトデー大作戦
「……千歳、私ね……」

止まってた涙は、またすぐに、切長の瞳に膜を張って、いまにもこぼれ落ちそうだ。

「私……」

「うん」

「千歳のこと……愛して」

そこまで聞いた僕は、実花子の唇に唇を重ねた。

「ンッ……」

何度か、熱を交換しながら、僕は、身体が熱くなってしまう前に、実花子から唇を離した。

実花子が、不思議そうな顔をしている。

「え?千歳、なんで?……最後まで、その……」

「あぁ、なんで最後まで、実花子に愛してるって言わせなかったかって?そんなの決まってるでしょ?今のは、途中までしか言わなかったから無効ね。あとで、ベッドの上でもう一回言ってもらうから」

実花子は、涙を引っ込めると、眉を寄せた。

「ちょっと……なんで、今のが無効なのよ!あんなに恥ずかしい思いしたのにっ」

「そんなに恥ずかしかったの?じゃあ、ますます僕だけ、愛してるとか言って、恥ずかしい思いしてんのおかしいでしょ?大体、実花子は、ベッドの上でのコト忘れすぎだしね。今夜は、僕から意地悪されても、ちゃんと起きてよね。ま、どうせ寝かせないけど」

「な……何なのよっ、まるで私が悪いみたいにっ」

「はい、今日も僕の勝……」

(え?……)

僕は、声が出ない。

実花子の甘い髪の匂いと柔らかい唇の感触に、今、実花子に僕が何をされているのか、一呼吸遅れて理解する。
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