独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
朝霞さんなら、どうだったのだろうか。

敵わないのも、比較対象にならないのもわかっているが、少しでも瑛さんに認められたいと願ってしまう。

なにもかも未熟なのに、嫉妬と独占欲だけは強いなんて。

醜い心の内を、絶対に知られたくない。



『早く身に着けたいんだけど……朝霞さんはもっと自然に梁瀬本家に受け入れられていたはずだし、知識もなにもかも完璧だっただろうし……』



ちなみに朝霞さんと富田さんも旧知の仲だと、富田さんに教えてもらった。

幼い頃はよく一緒に遊んだそうだ。



『元婚約者と比べても仕方ないでしょ。過ごしてきた時間が違うんだし、彩萌のできる努力を続ければいいの。梁瀬副社長だって、ご令嬢と同じ振る舞いを望んでいないわよ』



親友に呆れたようにたしなめられ、不安が少しだけ薄れた。

瑛さんはずっと私を好きでいてくれるのか、ふとした折に自信を失う。

正直、私のどこを、なにを、気に入ってくれたのかよくわからない。


瑛さんは今も、毎夜私を抱きしめて眠る。

彼の体温をどれほど私が愛しく、大切に思っているか、きっと知らないだろう。

朝霞さんのような完璧な人にはなれないが、できる努力はしなければといつも焦ってしまう。

瑛さんが私の妊娠を両家の両親に伝えると、とても喜び、体調を心配された。

義父は異動したばかりの私をとくに気にかけてくれているようで、温かな心遣いが嬉しかった。

少しずつでも家族らしくなっていきたい。

こんな穏やかな日常が続いてほしいと願った。
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