独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「くそっ……!」



思わず悪態を吐き、リビングに戻る。

今まで、仕事でもこんなに取り乱したことはない。

落ち着けと自分に言い聞かせるが、一向に効果がない。

とりあえず義実家、本家、彼女の友人に連絡をとろう。


スマホを持ち直し、ふと視線を上げた先に一通の封書があった。

なぜか気になり中身を確認すると、食事会の案内が入っていた。

青年淑女会などともっともらしい名前をつけているが、ただの詮索と嫌味の応酬の会合だ。

俺と里帆は仕方なしに一度顔を出した経験があるが不愉快でしかなく、二度と参加しないと決めている。



「なんでこんなものがここに……」



そもそもこの家の住所をどうやって知ったのか。

幹事が時芝の令嬢だとわかり、合点がいく。

大方、彩萌に嫌がらせをするつもりなのだろう。

絶対に不参加だな、と考えていると開催日時が今日だと気がついた。

嫌な予感がした。



もしや、これに参加している?



店にすぐさま電話をかけたが、休憩時間なのか一向につながらない。

藁にもすがる思いで里帆に電話をかけた。

ここは幼馴染の恩師の勤務先だ。

なにかほかの連絡先を知っているかもしれない。

数回のコール音の後、幼馴染が応答した。



「彩萌がいなくなった」



挨拶も理由も話さず、事実だけを告げる。

不躾だとわかっているが、今は一分一秒が惜しく、なりふり構っていられなかった。
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