独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「す、すみません」



「倒れてから今までずっと寝ていたんだ。急に動くな」



衝撃的な情報に目を見開く。



あれから、ずっと?



「倒れたときのことは覚えているか?」



「は、い。あの、看病をしていただいて申し訳ございません」



「さっきも言ったが、謝るな」



「でも……」



居たたまれなさにうつむきかけた私の頬を、瑛さんが両手で包んで掬い上げる。



「俺の判断と意思だ……着替えもな」



「きっ……着替えって……」



再び熱を持ち始めた私の頬を、彼が楽しげに見つめる。



「布団を恐々めくる姿は可愛かったぞ?」



「み、見ていたんですか!?」



私の質問に目を細める。



「さすがに病人を抱く気はないから、安心しろ」



しれっと告げられ、即座に反応できず、唇を開け閉めする。



「お前の体調が回復したら、そうも言ってられないが」



「え?」



突如ガラリと変わった怪しい雰囲気に、思わず間抜けな声が漏れる。

妖艶な眼差しを向けられ、息を呑んだ。

頬から手を離した彼が、素早く私の腰を引き寄せる。



「遠慮なく、抱く」



形の良い唇を耳元に寄せ、宣告する。

耳に触れた熱い吐息に、背中に甘い痺れがはしった。



「今は、これで我慢しておく」



そう言って、瑛さんは長い指で私の顎を掬う。

艶やかな髪が額に触れたと思った瞬間、唇が重なった。
< 34 / 174 >

この作品をシェア

pagetop