独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
「――おめでとうございます。妊娠されていますよ」



四十代くらいの女医が穏やかな笑顔を浮かべて、診察結果を告げた。



「梁瀬さんは初産ですよね。わからない事柄も多くて不安もあるかと思いますが、私たちが力になりますからなんでもおっしゃってくださいね」



先生の優しい言葉が心の奥に染み込んで、鼻の奥がツンとした。



「次回は二週間後に受診してください。今後のスケジュールや手続きなどについて順番にご説明しますから待合室でお待ちくださいね」



はい、と返事をして待合室に向かう。

結果を聞いてほんの少し余裕ができ、周囲を見回すとパートナーと来院している人の姿が目に入った。

 

……瑛さんに、伝えなくちゃ。



嬉しいニュースなのに、別の緊張が襲ってくる。


いつ話せばいい? 



今日の帰宅も遅いだろうか? 



疲れているときではなく、朝食時がいい? 



電話にしようか? 



なによりも……喜んでくれる?



病院の壁掛け時計は、現在午後五時前を示している。

今日のスケジュールを把握していないが、着信を残しておけば折り返してくれるかもしれない。

説明を待つ人は私のほかに数名いるようなので、今のうちに電話をしようと病院の外に出た。

オフにしていた電源を入れると、たくさんのメッセージが届いていた。



「……え? なんで……」



慌てて確認すると、すべて瑛さんからだった。



【今から帰る】



【疲れただろうし、今日は外食にしよう】



【眠っているのか?】



【具合が悪いのか?】



【彩萌、どこにいるんだ?】
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