麗しの王様は愛を込めて私を攫う
 おばあちゃんがいなくなってひと月が経った頃、この国の王様が亡くなった。
 
 王妃様と側妃様の争いに巻き込まれて命を落とされたらしい。
 王族はこのところ不幸続きだ。
 その争いで、王妃様と二人の側妃様も命を落とされている。

 王族で残されたのは、第三王子様だったリシウス様ただ一人となった。

 王様の葬儀が済んだと同時に戴冠式が行われ、リシウス王子様はこの国の王様になられた。

 十九歳という若さで王様となられたリシウス陛下は、国民に発した言葉により、王としての才覚を見せられた。容姿麗しい王様は、瞬く間に国民から絶大な支持を得ることとなる。


 リシウス様が王様となられてから一週間後。
 私にまた花束が届いた。

 今回は久しぶりにカードが入っていた。

 そこには一言だけ

『君を愛してる』

 そう書いてあった。

 名前も知らない人からとはいえ、人生ではじめてもらった愛の言葉。

 淋しい日々を気丈に送っていた私の心は揺れてしまった。

 はじめて贈り物をもらってから、七年が過ぎている。

 おばあちゃんが言っていた通り良い人なのだろうか。
 会ってみたい……気もするけど……。



 その夜に、私は寝ていた部屋から攫われたのだ。

 この国の王様、リシウス陛下に。
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